2/11 MITの安定化制御則(2)


本日は文献[1][2]を検討する.([1]は30.0MB以上あるため読み込みに時間がかかる)
これまでZMPを基盤とした安定化制御手法は数多く提案されてきた. [1]で提案されている手法はその中でも特に優れており, ZMPの安定化制御の決定版と言っても過言ではない. 2足歩行ロボットを開発する人なら1度は見ておきたい論文である.
[1]の要点を順に見ていく.(ページで言うと1/47~8/47)

3 Motion Planning
段差, 瓦礫などの障害物があっても目標の場所に移動するため以下のアプローチをとる.

LIDAR地形スキャンで障害物特定
② ①で作成した障害物マップから安全な足跡領域を計算するための最適化問題を解く
③ 所望の軌跡が計算されコントローラに入力される

車から降りたり、地面から起き上がったりするような複雑で動的な全身運動の場合は, 運動を計画するために, より記述的な運動学的および動的モデルを使用する必要がある. ただし, Atlasのような複雑なヒューマノイドシステムでは, 完全なダイナミクスを使用して軌道最適化問題を解くことは, 計算上不可能な場合がある. この問題に対し, ロボットの全身運動学的かつcentroidal(重心的?)なダイナミクスを使用したアルゴリズムを定式化することで, 既存の完全な動的軌道最適化アルゴリズムに比べ重要な計算上の優位性が得られる(詳しくは2/14で説明).

ロボットの単純化された動的モデルの軌道を安定させるために時変線形2次レギュレータ(LQR)設計を使用する(詳しくは2/15で説明).
controller(制御器)を物理システムに実装するには, 各制御ステップでQP(2次計画法)に対する解を効率的に計算できる必要がある(この辺はガチの数学になります. 個人的にはめちゃくちゃ好きです). 少し余談です(読み飛ばしてもらって結構).  数学は先端科学の解決手段として利用されることから, 科学の「奴隷」とまで言われる( 例えば, アインシュタインはリーマン幾何学という数学を核心として一般相対性理論を構築した).  私自身も工学の問題を解くうえで数学を奴隷とまでは言わずとも,「道具」として捉えている.  そんな数学だが, 私が尊敬して止まない大天才カール・フリードリヒ・ガウスの言葉, 「数学は科学の女王」がうまく表現しているように, 数学はすべての科学を従え, 世間の価値観と隔意をもち, 論理の破綻とは無縁なつれない女王なのかもしれない. 

3.1 Footstep Planning as a Mixed-Integer Convex Problem

・一連のステップをロボットが安全に実行できるようにしながら, 開始状態から目標までの特定の地形上の足跡配置を選択する問題.
・各足跡が安全な地形上にあることを保証しながら, 足跡の数とその位置および方向がコスト関数に関して同時に最適化.
・歩行動作を計画する前に, ロボット周辺地域を足跡の配置にとって安全であるか安全でないかに分類.
・足跡が非凸集合内(例えば階段ならすべてのステップの上面)にあるように制限しなければならない. しかし, 最適化が凸ではない制約を持つ場合, 大域的に最適な解を見つけることや, それが存在しないことを証明することは困難または不可能になる可能性がある[3][4]. そこで, 安全な地形の非凸集合を凸状の平面安全領域の集合に分解することによって, 足跡計画の組み合わせの観点を明示的に表す. すなわちこれは, 障害物を回避するという問題障害物がないことが知られているいくつかの凸状領域に各足跡を割り当てるという離散的な問題変換する.

mixed-integer convex programming は, 以下のような一般形をとる.

ここで, fとgは凸関数で, ベクトルy∈Z mの要素は整数値を取る. この特別な場合は, mixed-(0,1) convex programmingで, yは0または1の値に制限される.

この形式のバイナリ変数を使用して, 足跡の領域への割り当てを示す.
p1, p2, …, pNを足跡の姿勢とし, pj=\((x_j, y_j, \theta_j)\)で位置とヨーとして表し, \(G_1, G_2, …, G_R\)は凸多面体として表される安全地形の領域とする. また, 安全領域への足跡の割り当てを表す行列Y∈{0, 1}\(^{R×N}\)を作ると, 最適化問題は以下のようになる.

\(Y_{i, j}\) ⇒pj∈Giという条件付き制約は, pjの可能な値にある程度の限界があるという条件で, 標準の big-M formulationを使用して正確に表すことができる[5]. 追加の凸制約g(p1, p2, …, pN)≦0は,ロボットの到達可能な足跡の集合の近似値を表す.
本日はこれくらいにして, この論文の本格的な内容は明日以降.

 

 

【参考文献】
[1]https://dspace.mit.edu/openaccess-disseminate/1721.1/110533
[2]http://scottk.seas.harvard.edu/files/scottk/files/explicit-zmp.pdf
[3]https://web.stanford.edu/~boyd/cvxbook/bv_cvxbook.pdf
[4]https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%B8%E6%9C%80%E9%81%A9%E5%8C%96
[5]http://cse.lab.imtlucca.it/~bemporad/publications/papers/automatica-mld.pdf